EAT & BITE

食べたもの、作った料理を掲載します。(株)東風社 代表取締役社長 幸本陽平です。

数字に強い人は○○を見る

次のクイズを考えてください。

「あるコンサルタントが企業に『5億円の利益が増加する計画』を持ち込んだ。その計画は完璧かつ簡単で、確実に成果が出るであろうものだった。しかしその企業はその提案を断った。なぜ?」

いかがでしょうか。

そのコンサルタントが反社会的勢力だった…とか、5億円のうち4億円の取り分を要求した…等を考えたかもしれませんが(笑)、実際にはもっとシンプルです。

答え「その企業は毎年5千億円の利益が出ているので、5億円程度では検討に値しなかった」

5億円というのは大金です。しかし利益5千億円の企業にとっては、0.1%にすぎません。

0.1%ということは、年収5百万円の人にとっての5千円と同じ。

もしあなたが「私のコンサルを受ければ家計が5千円改善しますよ」と言われても、たったそれっぽっちだったら面倒くさいからいいよ、と思うのではないでしょうか。

このように、数字を見る際は「分母」が重要です。

「利益が前年比5倍!」

と言っても、前年の利益が1万円だったらそれはプラス4万円でしかありません。

数字が出てきたら「全体の母数はどれくらいなのか」を注意しましょう。

「他に取って代わられない商品」になるには

www.nikkei.com

出版市場の縮小は13年連続だそうです。

出版科学研究所は25日、2017年の出版市場が前年比7%減の1兆3701億円だったと発表した。

これまでは堅調だった漫画の単行本すら大きく減少し始めました。

最後の砦(とりで)の漫画単行本(コミックス)販売が13%減と初めて2ケタの減少に沈んだのだ。

苦境の背後には急速にはびこり始めた海賊版サイトの拡大がある。

海賊版サイトは昔からあったのでしょうが、スマートフォンの普及に加えて「海賊版サイトのユーザービリティの良さ」つまり語弊はありますが「使い勝手の良さ」が単行本のシェアを奪っていると言われています。

熱心な漫画読者は単行本を買うが、数ある暇つぶしの一つ程度に捉えている人は、無料のソーシャルゲームを楽しむのと同じ感覚で、罪の意識なくこれら海賊版サイトを楽しんでいるようだ...という考察があります。

海賊版の違法性について、ひとりの漫画家がどうこうできるものではありません。善悪とは別に、自社の商品やサービスが替わりの商品、もしくは新たなテクノロジーに取って代わられないようにする努力は常に必要です。

漫画などのコンテンツは常にコピーといった問題にされされています。

では「漫画」を例に考えてみると、「他に取って代わられない商品」はどのようなものがあるでしょうか。

・企業の社史や商品説明を漫画にする。

・結婚する二人のなりそめを漫画にする。

・・・といったものが考えられます。

これらならば「ネットでばらまかれて、単行本が売れなくなる」といった心配とは無縁です。

音楽CDが売れなくなったのでミュージシャンがライブやグッズで稼ぐようになったのと同じような考え方ですね。

あらゆる商品やサービスについて

「他に取って代わられてしまう可能性はあるか?」

「では、他に取って代わられない商品は何か?」

を考えておく必要性が増したのではないでしょうか。

給料アップと従業員のやる気の関係とは

「幸本さん、従業員のやる気を高めるためには給与やボーナスを上げるべきなのでしょうか」

「先日、臨時ボーナスを出したのですが社員がさほど喜んでいるように見えないんです。どうしてでしょうか」

賃金に関するご相談はとても多く寄せられます。

給与の制度や水準はこうやれば正解、というのがあるわけではありませんし、他社がいくらなのかもよくわかりませんからね。お悩みになるのも無理はないと思います。

特に「お金と従業員のやる気・満足度」の関係についてはよく聞かれます。

従業員のやる気を高めるためには、高い給料が必要なのでしょうか?

これには半分Yes、半分Noであると言えます。

人はきれいごとでは動きません。ある程度の給料が必要なのは間違いありません。

お金を出さずに従業員を他社の2倍働かせよう、なんて考えがうまくいくわけがありません。

では、給料が高ければやる気は高まるのでしょうか。

もちろん給料が世間の水準の2倍、3倍あれば別格でしょう。それは不可能としても、現実的な範囲で給料を上げれば社員のやる気や満足度は高まるのでしょうか。

よく私はこのようなたとえ話をします。

「飲食店で、料理やサービスが良くても、トイレがすごく汚いと、この店はイヤだなってなりますよね。その反対で、トイレがすごく綺麗だからこのレストランに行こう、とはなりませんよね。お金もこの飲食店のトイレと同じで、『マイナスの要因』にはなるのですが『プラスの要因』にはなりにくいんですよ」

つまり「給料3万円ダウン」による気持ちの浮き沈みが「マイナス100」だとすると、「給料3万円アップ」してもプラス100にはならず、せいぜいプラス20程度なのです。

※数字は根拠があるわけではなく、あくまでイメージです。

給料にせよボーナスにせよ、お金は一時的な喜びにはなりますが、長期的なやりがいや意欲にはつながりにくいことが研究などでわかっています。

お金だけでなく「仕事ぶりをしっかり見て評価すること」「自分や会社に長期的な展望があること」の方がやる気につながるのです。

そう考えると、これらの施策は「給料アップ」よりもむしろ難しいことがわかるのではないでしょうか。

従業員とお金の関係について、この「飲食店のトイレ」理論は覚えておいて損はありません。

欠けている部分に気を取られていませんか

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上記画像はAmazonより引用)

あなたが上の画像を見て、どこに目が行きますか?

おそらく右の欠けた部分ではないでしょうか。

「ドーナツが(本来の8割以上は)ある」

ことよりも、

「ドーナツが欠けている」

ことの方に意識が行くはずです。

このように人間は、どうしても欠けているもの・足りないものに目が行きがちです。

そのため「8割できている」部下に対して、そこを褒めずに「2割できていない」部分を指摘、注意してしまいます。

しかしそれよりも大事なのは「8割できている」ことの方ではないでしょうか。

だからそのようなときは

「あなたの(2割の)ここがダメだ」

ではなく、

「あなたの(8割の)ここが素晴らしい。残りの2割を伸ばせばさらにもっと良くなる」

という指導をすべきです。

つい「欠けている部分」「足りない部分」を指摘したくなりますが、それよりもまず「できている部分」を褒めるところから始めましょう。

手段と目的を混同しない

私はビジネス研修を提供しています。

研修の目的は様々ですが、

「社員が成長すること」「それによって所属企業にメリットをもたらすこと」

などが挙げられます。

「研修を受講し、理解すること」自体は手段であって、目的ではありません。

しかし、人はつい手段と目的が逆になることがあります。

一例として、研修で様々なフレームワークを指導した後のこと。

このような場合、受講者はつい、「フレームワークを使うこと」が目的化してしまいがちです。

フレームワークを指導した後、受講者が

「機械の不具合の原因」をフレームワークの○○で整理した、と教えてくれました。

しかし、その機械の不具合は年に数件あるかないか。

だったら、わざわざフレームワークを検討しなくても、その不具合を列挙してくれたほうがはるかにわかりやすくなります。

フレームワークは手段であり、目的ではありません。

このように、何かの行動を起こす、たとえば「名刺を作る」「新規開拓の営業を行う」「採用の広告を出す」といった場合、

「この目的はなんだろうか?」

と考え直してみることが大切です。

そのツルハシ、本当に金を掘れますか

「ブログで集客!」などと言われたら「そうか、やってみようかな」などと思う方もいると思います。

しかし、それで儲かるのはそのセミナーを行う講師だけ...という笑えない話もあります。

「ゴールドラッシュで儲かったのは金を掘った人ではなく、ツルハシを売った人」

とよく言われます。

本当にそれで金を掘れるなら、売り手も買い手も両方ハッピーになります。

もしも売り手は金が取れるかどうかをまったく知らずに「ここで金が掘れますよ!ツルハシを買いましょう!」とウソをついて売っていたら...?

「でも実績もあるみたいだし...」

その実績、成功率は何%でしょうか?100人にひとりのたまたまの成功を誇張していませんか?そもそもその実績は本当ですか?

「○○で集客!」「必ず儲かる!」「あなたの仲間がこんなにいます!一緒にがんばりましょう!」などというサービスに頼りたくなる気持ちもわかります。

 

しかし最後に大事なのは結局、「自分で考え、自分で決断する」ことなのです。

それには一発逆転はなく、地道に考え、コツコツ実行するしかありません。

「これさえやれば」的な商品、サービスに引っ張られそうになったら注意しましょう。

無意識の専門用語に気をつけよう

私が化粧品ブランドの会員組織(メンバーズカードとかを作ってポイントがたまるアレです)の運営を担当していたときのことです。

年に一回、「リクルーティングキャンペーン」という、お客様に入会を促して入会者数を増やすキャンペーンを行っていました。

ある日、店舗のスタッフからこう言われました。

「リクルーティングキャンペーンって、就職活動をしている学生向けのキャンペーンだと思っていました...」

このスタッフはリクルート=就職活動、という意味だと思っていたのですね。

 

このように自分の使う言葉=誰もが知っている言葉だと思うと、思わぬ失敗をすることがあります。

私はマーケティング研修で、「商品」に対しての「サービス」という言葉を使いました。

経済学などでは、ざっくり言うと値段がついている形があるものを「商品」、形がないものを「サービス」と言います。美容院のヘアカットやマッサージなどがわかりやすい「サービス」ですね。

このように「形のない財」という意味でサービスという言葉を使ったのですが、どうも受講者と話が噛み合いません。

受講者はサービスを「店員のサービスがいい」「もう1個サービスしておくよ」などの意味、つまり「相手に対する奉仕」として理解していたのでした。

これは「サービス=形のない財」という意味だとすべての人が思うはずだ、という私の思い込みの失敗であり、うかつでした。

 

このように、自分の使う言葉が誰でも意味を知っている、理解している言葉であるとは限りません。

明らかな専門用語ならば気をつけることができるのですが、上記のような例はなかなか人に指摘されないと気付きません。

常に「他者目線」を持ち続けたいものです。