中小企業の社員育成と組織づくりを支援~ファクター・コンサルティング(幸本陽平事務所)

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「質問」が「詰問」になっていませんか

ある年下のコンサルタントから、こんな相談を受けました。

「取引先の社長に、コンサルを開始するに当たってヒアリングを行ったんです。初回なので、現状について詳しく聞こうとしました。すると徐々に表情が険しくなっていったのです。最後は不機嫌になって怒られてしまいました。私はただヒアリングをしただけで、失礼なことは言っていないつもりですが」

 

私がその場にいたわけではありませんが、なんとなく社長が不機嫌になった理由は想像できます。

私たちコンサルタントは「事実」を大事にします。

「事実」があいまいなまま、「なんとなくこうなのでは」「前はこれでうまくいったから」などと助言することは絶対にありません。

そこで、ヒアリングでも「事実」を正確に聞き取ろうとします。

ところが、人は質問の内容や聞き方によっては、単なる「質問」を「詰問」と捉えてしまうのです。

 

たとえば以下のような会話があったとします。

社長「あの新製品は売れなくってね...」

コンサル「なぜ売れなかったのですか?」

このコンサルタントは売れなかった理由や原因を聞き取ろうとしただけで、悪意はありません。

しかし、社長はこう考えるかもしれません。

「なぜ売れなかったって、そんなことがわかれば苦労しないよ!」

「失敗の嫌な思い出を蒸し返すなんて!」

「恥を晒せというのか!」

単なる「事実の確認」が、社長にとっては「問い詰められた」ように感じてしまうのです。

 

私も似たような経験があります。

質問に対して「~だと思った」「~と感じた」と主観ばかりを話す方がいたので、

「そうお感じになったのはわかりました。では、お気持ちと切り離して、事実のみを教えていただけますか?」

という趣旨の質問をしました。すると、

「そういう風に感じたのは事実じゃないっていうのか!私が感じたことは事実だ!!」

と立腹されてしまったのです。

 

コンサルタントにとっては主観(例、人がたくさんいる)と事実(例、人が100人いる)は切り分けるクセがついています。

しかし「(主観ではなく)事実を教えてください」と言ってしまったことにより、

「私の言っていることが事実じゃないっていうのか!ウソだと言いたいのか!」

という反応になってしまったのです。

 

また、こちらの何気ない質問が、相手にとっては「問い詰められている」という感覚になることもあります。

たとえば「なぜ?を繰り返すことが大事」だとよく言われます。

そのため私も「あなたにとって大事なことは?...効率化が大事だと思うんですね。では、なぜ効率化は大事なのでしょう?」と、なぜ?それはなぜ?と繰り返し聞くことがあります。

しかしこれも慣れない人には「質問攻めにされている」という印象を持たれることがあるので、注意が必要です。

 

質問が詰問にならないよう心がけて実行しているのは、質問の前に「クッション言葉」を入れることです。

「答えにくい質問かもしれませんが...」

「ご存じなかったら構わないのですが..」

「参考までお聞きしたいのですが...」

「ご自身のお考えでけっこうですので...」

など、答えやすいようにワンクッションを入れるのです。

そのパターンは様々ですが、相手に「問い詰められているわけではない」「単なる質問であって、聞き手に責めたり非難したりする意図はない」と安心感を持ってもらうようにすることが大切です。