身近なニュースで学ぶマーケティング講座

世界一カンタンで効果が出る市場調査「5人聞き取り」を提供する幸本陽平が、身近なニュースでマーケティングを解説します。

【スターバックス リザーブ バー】から学ぶ ~ インナーブランディング

先日、スターバックスで1,231円のコーヒーを飲んできました。

書き間違いではありませんし、トッピングを山ほどした、というわけでもありません。

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もしあなたがスターバックスの店員だったとしたら、

「普通のスターバックス

「1,231円のコーヒーを出しているスターバックス

のどちらで働いてみたいでしょうか?

今回はスターバックスから、従業員育成について考えてみましょう。

私が行ったのは、最近オープンした銀座SIXの中にあるスターバックス リザーブ バー(以下リザーブ バー)という店舗です。

ginza6.tokyo

すぐ隣には通常のスターバックスもあり、両者は隣り合っています。

リザーブ バーが通常の店舗と異なる点は以下の通りです。

・店員に席に案内されます。自由に席に着くことはできません。満席の場合は列を作って待ちます。

・メニューが通常と異なります。お酒もあります。

他にも異なる点はあるのですが、ざっくりと、スターバックスの高級版と言ってよいでしょう。

www.starbucks.co.jp

そこで私は「ナイトロ コールド ブリュー コーヒー」を注文して飲んでみました。

水出しコーヒーに窒素を混ぜたもので、一度飲んでみたかったのです。

800円+税とのことで、なかなかいいお値段だな、と思っていたのですが…

それは3グレードある豆の一番安いランクの場合で、その日は日曜で混雑しているためか、一番高い豆のコーヒーのみを用意しているとのこと。

それがお値段1,140円、税込みで1,231円。

正直、コーヒー一杯に1,200円超か...と思いつつも、ブログネタになればいいか、行列に5分くらい並んだし、と思いつつ注文しました。

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希望すれば、注ぐところを見せてくれます。

ビアサーバーのようなところからスルルル...と注がれるだけで特に見どころはなかったのですが(笑)、詳しくは後述します。

味は、炭酸のようなシュワシュワ感はありません。完全に液体なのですが、まるでビールの泡の部分だけを飲んでいるような、クリーミーで不思議な口当たりでした。

さて、このリザーブ バーについて、スターバックスはなぜこのような店舗を出店したのでしょうか。

1.インナーブランディング

もちろん私の専門のマーケティング的な観点から考えてもよいのですが、「インナーブランディングという人材育成の観点から考えてみましょう。

インナーブランディングは内部ブランディングとも呼ばれ、簡単に言えば「従業員向けのブランディング活動です。

社内の人材は、極めて重要な資産です。社員に良い会社だと思ってもらうことができれば、アウトプットの成果も高くなるでしょうし、定着率が高まり、採用コストも低減することでしょう。さらに良い会社だという評判が高まれば、優秀な人材が集まってくることも期待できます。

通常、ブランディングというと商品を対象に行われますが、このように社員向けに行う企業のブランディングのことをインナーブランディングと呼びます。

私の見立てでは、このリザーブ バーは、対顧客のブランディングのみならず、インナーブランディングとしての側面が強いのではないかと感じました。

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2.いつかはブラックエプロン

リザーブ バーで働くパートナー(スターバックスでのスタッフの呼び方)は、全員「ブラックエプロン」の着用者でした。

ブラックエプロンとは、どのような存在でしょうか。

スターバックスWEBサイトより)

スターバックスといえば、グリーンのエプロンですが、ブラックエプロンがあるのはご存知ですか。ブラックエプロンとはその名のとおり黒いエプロンのこと。スターバックスで、よりコーヒーの知識を持つ、バイヤー、ロースター、テイスター、そしてコーヒーマスターの中でも、より豊富な知識を蓄えた者に与えられるエプロン。全てのバリスタのコーヒーへの情熱の象徴です。

ブラックエプロンを身に着けることができるようになるのは容易ではありません。バリスタたちはブラックエプロンを目指して努力しているのです。 ブラックエプロンを着けたバリスタは、全てのグリーンエプロンバリスタと共に、お客様のコーヒーに関する疑問に答え、おいしいコーヒーのいれ方や器具の使い方、コーヒーの楽しみ方をご提案する存在として活動しています。お客様がお店に立ち寄るたびに味わうエクスペリエンスがより豊かなものになることを願っています。

www.starbucks.co.jp

2016年末現在、スターバックスのパートナー(スタッフ)は31,831人。そのうちブラックエプロンは2,782人で、1割にも満たない人数です。

一説には合格率10%以下と言われ、いわば「スターバックスのエリート」です。

銀座SIXのパートナーはすべてこのブラックエプロンでした。おそらくオープンにあたって、各店の精鋭が集められたのでしょう。

その人たちは自主応募なのか、それとも上からの指示なのかはわかりません。しかし、自分がスターバックスの特別な店舗で働けるということを、非常に名誉なことと考えたことでしょう。

3.コーヒーのみならず、自分が主役

同店は、単に通常のメニューと異なるだけでなく、パートナーがコーヒーを注ぐところを「ご覧になりますか?」とお客さまに声をかけます。もちろん通常の店舗でもコーヒー等を作成するところを見ることはできますが、それは決して「主」ではありません。

しかしリザーブ バーではそれはコーヒーを提供する形式の一部であり、そのような「見せる」部分も価値や価格の一部である、と言っても過言ではありません。

このように、他のパートナーにとっては「いつかはブラックエプロンに」そして「銀座SIXのような特別な店舗に」という目標になることでしょう。

スターバックスのパートナーは、必ずしも全員が店長やマネジメント側になりたいわけではなく、ずっとお客さまと接したい、という人もいるはずです。そのような人たちに長期的な目標を示すということでは、とても有意義なことでしょう。

リザーブ バーのような店舗は、対お客さまというよりも、対パートナーという意味があるのでは、とすら思えました。

 

■■■このニュースから学べること■■■

あなたの会社では、従業員に「いつかはこうなりたい」というビジョンを示しているでしょうか。そのようなビジョンや場を意図的に作り出そうとしているでしょうか。

インナーブランディングは対外的なブランディングと同じくらい重要です。従業員が長く意欲的に働ける会社・組織を作るにはどうすればよいか?と考えてみてはいかがでしょうか。