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身近なニュースで学ぶマーケティング講座

世界一カンタンで効果が出る市場調査「5人聞き取り」を提供する幸本陽平が、身近なニュースでマーケティングを解説します。

「おふくろの味、健康志向のイワシ丼」はなぜ売れないのか

※本ブログ内容は実際に起こったことをベースとして一部改編してあります

いわしで商品開発

私がある外食産業の若手社員を対象にマーケティング研修をしていたときのことです。

研修の最後に魚の「いわし」をテーマに商品開発をしてもらうことになりました。

ある班が開発した商品は以下の通りです。

■商品:いわしの蒲焼き丼
■狙い:普段コンビニ弁当ばかり食べている男性会社員向け。栄養バランスの良い「おふくろの味」として。

さて、この商品は売れそうでしょうか。

 

なんとなく、悪くなさそうな気がします。

しかしこの「なんとなく」が曲者なのです。

私がその場で指摘したことは以下の2点です。

1)その人たちはその外食店にやって来るのか?

ターゲットは「コンビニ弁当ばかり食べている男性会社員」とのこと。

そういった人たちはその外食店に「なぜ」「どうやって」来るのでしょうか。

「今、ウチの外食店に来ていない人」を呼び込むのなら、わざわざコンビニではなくその外食店に来る理由やきっかけが必要です。

メニューのひとつにいわしの蒲焼き丼を加えただけで「いつものコンビニじゃなくあの外食店にしようかな」となるでしょうか?そんなことはないですよね。

だから「その人たちをどうやってその外食店まで呼び込むか」までセットで考える必要があります。さらに、最初から「元々その外食店によく来る人」をターゲットにした方がより売れやすいでしょう。

2)「おふくろの味」なのか?

栄養バランスの良い、「おふくろの味」のいわしの蒲焼き丼。

まじまじと読むと、何か違和感がありませんか?

そもそも、いわしの蒲焼き丼に「おふくろの味」を感じるでしょうか?

あなたは「ああ、おふくろの味が食べたいなあ。」と思うことはあるでしょうか?

あるとしても、それは本当に母親が作ったカレーライスであったりオムライスなどではありませんか?外食店の食事に「おふくろの味」を求めていますか?

「栄養バランスの良い」「おふくろの味」というのはなんとなく「耳障りの良い」フレーズです。

でも「耳障りの良い」それだけなんです。

そこから「へぇ、それじゃあ食べてみたい」にはなりにくいのです。

このような「なんとなく」のフレーズは注意が必要です。

「自社が優れている」思い込みはないか

上記二点にさらに補足があります。

「この外食店の人は、無意識に『ウチの食事の方が、コンビニの食事の方が上』と思い込んでいないでしょうか?」

もっと言えば、

「本当はみんな外食店で食事をとりたいはずだけど、やむなくコンビニ弁当を食べている」

と思っていないでしょうか?

確かに目の前にコンビニ弁当とその外食店の食事が並べば、その外食店の方を選ぶかもしれません。

しかしコンビニ弁当には「24時間いつでも買える」「店が多い」「家に持ち帰って食べられる」「ついでに他の買い物も済ませることができる」など、様々なメリットもあります。

「コンビニ弁当を”嫌々”食べているはずだ」「本当はもっと”ちゃんとした食事”を食べたいはずだ」と思い込んでいると、足をすくわれます。

自社の価値を実際より高く見積もっていないか?そしてありきたりなワードでなんとなく満足していないか?は常に注意したいものです。