偏ったネット情報よりも「5人に聞く」
私の「5人聞き取り」について、ある方からこんなことを言われたことがあります。
今はインターネット調査とかビッグデータとかも盛んですが、わざわざ5人に聞くっていうのは、その逆を狙ったんですか?
私としては「逆を狙った」わけではなく、この5人聞き取りという形式の調査が99%の企業に最適だと確信しているから選んだ、に過ぎません。
しかしそのようにおっしゃる気持ちもわかります。
インターネットにせよ、ビッグデータにせよ、様々な大量のデータが以前よりも簡単かつ安価に分析できるようになりました。
それなのにわざわざアナログに、買った人のところに話しを聞きにいくなんて、と。
しかし、考えてみてください。
イギリスのEU離脱はあれだけ世論調査で残留が予想されていたにも関わらず、離脱になりました。
記憶に新しいヒラリーVS.トランプの米大統領選挙も、事前の調査に反してトランプ氏が当選しました。
もはや大規模な調査は意味を持たないのです。
もっといえば、インターネット上の情報は信用ならないと言えるでしょう。
たとえば実際に、アメリカのFacebookでは、知識層はトランプ氏を批判的に書く人が多くいるものの、実際にはトランプ氏が支持を集めました。
また、Youtubeで人気の動画も、語弊を恐れずに言えば「時間はあるがお金はあまりない人」の方が見ている確率が高く、必ずしも万人に人気とは言えないでしょう。
だからこそ、本音はネットではなく、直接聞いて集めなければなりません。
ネット上ではウソは簡単につくことができますが、面と向かってウソをつくことはかなりのエネルギーを必要とします。罪悪感もあるでしょう。だからこそネットに出てこない本音を集められるのです。
お客様の「本音」を知りたい方は、ぜひ5人聞き取りをご検討ください。
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前回のブログで、私は次のように書きました。
スーパー銭湯の価値は、むしろ風呂に入ること以外のことを「できなくする」ことにある、と捉えられるのではないでしょうか。
もしそうだとしたら、スーパー銭湯はよかれと思って
「無線LANを張り巡らせて、防水タブレットも貸して、入浴中でもインターネットできるようにしよう!」
と考えたら、お客様の価値の逆になってしまいます。
(こんなことはしないでしょうが...)
何を価値ととらえるか。企業が考える価値と、お客様が考える価値はズレていることが多いものです。だからこそ、私どもが提供している5人聞き取りのように、お客様の本音の意見を聞くことが有効になります。
この価値は、企業側が何を価値とみなしてお客様に伝えるか、という点でも重要です。
同じ商品・サービスであっても、その「価値」の伝わり方が違ったら、お客様は違った認識をするからです。
価値は一通りではない
たとえば「食べ放題のビュッフェ」を例に考えてみましょう。
食べ放題の価値とは何でしょうか?
・お腹いっぱい食べられること。
・好きなものばかり選んで食べられること。
もちろんそうなのですが、あまり健康的な感じはしないですよね。
それ以外にはないでしょうか。
・店員を呼んだり、料理を待ったりする必要がないこと。
・大人数で行ったときに、定額なので精算がラクなこと。
このように考えると、たとえば
「いろいろな人が集まる会ではビュッフェがラクで便利ですよ。なぜなら注文を取ったりする手間がないですし、誰が何をいくつ食べたかとか計算しなくてよいですから。」
と、宴会にぴったりですよ、という価値になります。
他にも
・普段はとるのが大変な野菜を、好きなだけたっぷり食べられること。
という価値にしたら、健康的でないどころか、むしろ正反対のヘルシーなイメージになりますね。
ビュッフェを「食べすぎて不健康」という価値にするか、「野菜が食べられてヘルシー」という価値にするかは、届ける側のあなた次第です。
自分が思っている価値が、本当にお客様の視点での価値なのか?を考えてみてはいかがでしょうか。
あなたのモノサシとお客様のモノサシ
あなたはカレー屋さんの前に来ました。
看板には「100時間煮込んだカレー」とあります。
それはおいしそうだ、と中に入り、注文します。
しかし、そのカレーはおいしくなかった…。
そこで店主に「どうです、ウチのカレーは100時間も煮込んで手間暇かかっているんですよ。すごいでしょう」と言われたらどう思うでしょう。
続きを読むやってはいけない3つのこと 3)より良い商品づくり
3回に渡って、「実はやってはいけない3つのこと」をご紹介します。
1)アンケート調査
2)知名度アップの広告
3)より良い商品づくり
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3)より良い商品づくり
もちろんこれは「品質は大事ではない」という意味ではありません。そうではなく、「誰にとっての品質か」という意味です。それはもちろん、お客様です。
よく「~で差別化しました」とおっしゃる方がいます。しかし、差別化そのものが大事なのではありません。「お客様にとって◯◯という良いことがある、これは他の商品にはない」という場合、初めて差別化と言えるのです。「他と違うこと」そのものはお客様に意味はありません。「◯◯が違うんだ。ふーん、で?」で終わりです。
これは「付加価値」も同様です。「お客様にとっての良いこと」が付加価値なのであり、単に高級な原材料を使ったとか、包装を豪華にしたとか、それがそのままイコールで付加価値になるのではありません。
だから、差別化や付加価値でより良い商品を作ろう、と思っている方は要注意です。あなたの感じる「価値」をお客様も同じように感じるとは限らないからです。
「良い商品」も同じく、「会社側が考える良い商品」ではなく、「お客様が感じる良い商品」でなければなりません。しかし残念ながら、良い商品は得てして「会社側が考える良い商品」になりがちです。
お客様はあなたに比べて「素人」です。いくらあなたが「こんなに良い商品なのに」と言ったところで、それを良いと決めるのは素人である「お客様」です。「良い」の押し付け、押し売りをしていないでしょうか。
5人聞き取りならば、本当にお客様が「良い」と思った点は何か?がわかります。