あなたのモノサシとお客様のモノサシ
あなたはカレー屋さんの前に来ました。
看板には「100時間煮込んだカレー」とあります。
それはおいしそうだ、と中に入り、注文します。
しかし、そのカレーはおいしくなかった…。
そこで店主に「どうです、ウチのカレーは100時間も煮込んで手間暇かかっているんですよ。すごいでしょう」と言われたらどう思うでしょう。
続きを読むやってはいけない3つのこと 3)より良い商品づくり
3回に渡って、「実はやってはいけない3つのこと」をご紹介します。
1)アンケート調査
2)知名度アップの広告
3)より良い商品づくり
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3)より良い商品づくり
もちろんこれは「品質は大事ではない」という意味ではありません。そうではなく、「誰にとっての品質か」という意味です。それはもちろん、お客様です。
よく「~で差別化しました」とおっしゃる方がいます。しかし、差別化そのものが大事なのではありません。「お客様にとって◯◯という良いことがある、これは他の商品にはない」という場合、初めて差別化と言えるのです。「他と違うこと」そのものはお客様に意味はありません。「◯◯が違うんだ。ふーん、で?」で終わりです。
これは「付加価値」も同様です。「お客様にとっての良いこと」が付加価値なのであり、単に高級な原材料を使ったとか、包装を豪華にしたとか、それがそのままイコールで付加価値になるのではありません。
だから、差別化や付加価値でより良い商品を作ろう、と思っている方は要注意です。あなたの感じる「価値」をお客様も同じように感じるとは限らないからです。
「良い商品」も同じく、「会社側が考える良い商品」ではなく、「お客様が感じる良い商品」でなければなりません。しかし残念ながら、良い商品は得てして「会社側が考える良い商品」になりがちです。
お客様はあなたに比べて「素人」です。いくらあなたが「こんなに良い商品なのに」と言ったところで、それを良いと決めるのは素人である「お客様」です。「良い」の押し付け、押し売りをしていないでしょうか。
5人聞き取りならば、本当にお客様が「良い」と思った点は何か?がわかります。
やってはいけない3つのこと 2)知名度アップの広告
3回に渡って、「実はやってはいけない3つのこと」をご紹介します。
1)アンケート調査
2)知名度アップの広告
3)より良い商品づくり
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2)知名度アップの広告
多くの方が「知名度がないから売れない=知名度があれば売れる」とおっしゃいます。しかしそれは本当でしょうか。
・お客様がその商品の知識に乏しい
・企業や商品の差を見出すのが難しい
このような場合では、知名度は作用します。簡単に言えば、高度経済成長期のような状況です。
このような状況では、お客様の側では企業や商品についての知識がありません。だから「それを(よく)知っていること」は選ぶ際の一つの安心材料になります。
また、「違いがわからないから、このジャンルの商品ならどれでもいいや」という場合も、知らなければその候補にすらならないので、知ってもらえるだけで買ってくれる確率が高まります。
だから高度経済成長期では、「なるべく多くの人に存在を知らせる」ことが「自社の商品を選んでもらう」ことに直結したのです。
しかし現在はどうでしょう。あなたにとって、「知っている」ことと「買う・買いたくなる」ことはイコールでしょうか。これだけ多様な商品があると、大事なのは「有名であること」よりも「それが自分にぴったりかどうか」ではないでしょうか。
特にインターネットを使えばその商品の評判も知ることができます。それまで知らなかった商品でも簡単に調べることができ、他の商品とどう違うかもわかります。もしそこで悪評が多ければ、知名度の高さはむしろ逆風になってしまいます。
もちろん「知る」ことがなければ買うこともないので、「知る」こと自体は大事です。しかしやみくもに知ってもらうこと=知名度を高めること、が売上に直結する時代は終わりました。
大事なのは「買ってくれそうな人に知ってもらうこと」です。そのためには5人聞き取りで「買ってくれそうな人は誰か」を調べることが有効です。
やってはいけない3つのこと 1)アンケート調査
3回に渡って、「実はやってはいけない3つのこと」をご紹介します。
1)アンケート調査
2)知名度アップの広告
3)より良い商品づくり
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1)アンケート調査
アンケートはうまく使えば有効です。しかし以下のデメリットがあります。
1.「書く」は「話す」に比べて手間がかかり、ワンクッション入る
そのため、本音を省略してしまいがちになります。
2.細かいニュアンスが読み取りづらい
たとえばアンケートに「良かった」とあっても、それが「素晴らしくて感動した」なのか「特に問題はなかった」なのか、判別は困難です。
3.聞かれたこと以外は答えない
会話だったら話しているうちに思いついたり、自分から話してくれたり、ということもあります。しかしアンケートだと質問への回答のみになります。
4.本音を出しづらい、隠す
たとえば5段階評価で、そんなに良いと思っていなくても「やや良い=4」に丸を付けがちです。直接の聞き取りならば、表情や声のトーンから「これは本音ではないのでは」「お世辞では」など推測することも可能です。
以上のように、アンケートでは表面的な理解にとどまってしまいがちです。
「50人のアンケート」よりも「5人の聞き取り」をおすすめします。
なぜ画期的な新商品を作ってはいけないか
私が書籍を執筆していたとき、ある方にこんなことを言われました。
「幸本さん、書籍の内容は『読者が知っていること8割』『読者が知らないこと2割』でいいんです。読者は知っていることについて『うんうん、そうだよな』と背中を押して欲しいんです」
セミナーや公演についても似たようなことを言われたことがあります。
「セミナーは『当たり前のこと』『受講者なら知っているレベルのこと』が8割で、『受講者が知らないこと』は2割でいい」
と。
確かに自分が書籍を買うときも、「自分とまったく正反対の考え」の書籍を買うことはありません。「うんうん、なるほど、たしかにその通りだ。これについてもっと知りたい」と納得感がある書籍を買います。
もしあなたが「営業は計画や仕組み化が大事」と思っているのなら、「営業は気合いと根性だ!」なんて書籍を買おうとは思いませんよね。
私たちは無意識のうちに、書籍やセミナーで「新しい知識を手に入れよう」と思いつつ、実際は「自分の考えを補佐してくれる知識を手に入れよう」としているのです。
これはマーケティングの商品作りにおいても同様です。
どうしても私たちは「今までにない、画期的な商品」がお客様の興味を引くはず、と考えがちです。
しかし画期的な商品ということは、それまでの常識やお客様の好みに反するものとも言えます。
もしそれが受け入れられたらよいのですが、画期的であるがゆえに「普通とは違う」「私の好みとは違う」と拒絶されてしまいがちです。
画期的な新商品を作ろう!という場合も、書籍やセミナーと同じく、「2割くらいの新しさ」にとどめておいたほうが受け入れられやすいでしょう。
画竜点睛を欠く、になっていませんか
先日、おいしくてボリュームたっぷりと評判のランチに行きました。
確かに期待通りのおいしさでした。
しかし不満があります。
ランチのメインは美味しかったのですが、白い「ご飯」がおいしくなかったのです。
せっかくメインが美味しかったのに、その感動がご飯で相殺、むしろマイナスかもしれません。
このような場合、感想は
「ご飯はおいしくないけれど、いいランチだった」
ではなく、
「いいランチだったのに、ご飯はおいしくなかった」
とマイナスの記憶ばかりが残ってしまいます。
これはランチだけではなく、普通の商取引でも同様です。
「いい商品のはずなのに、売れない」
その原因はもしかしたら「商品」以外かもしれません。
たとえば、
営業担当者の対応がイマイチ。清潔感がない。
ウェブサイトやパンフレットがダサい、もしくは簡素すぎる(存在しない)。
パッケージや外箱ですごく手を抜いている。
そんなことで「商品はいいかもしれないけど…」と避けられてしまっていたら、とてももったいないことです。
「鳥の目」で全体を見ることで、画竜点睛を欠くことがないようにしたいものです。
感動を生むには、お客様の意見を聞いてはいけない
前回の記事で「満足はスタートラインであり、お客様の満足を超える”感動”を提供しなければならない」と書きました。
満足は不満の裏返しなので、「どうすれば満足するか」はある程度顕在化されてわかりやすいものです。
しかし「どうすれば感動するか」はなかなか外からはわかりません。
一体どうすればよいのでしょうか。
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